― Summer Drop ―
「千夏ー!!」

練習が終わり、ベンチに引き揚げる途中で千夏達に気づいた辰雄が

大声で名前を呼ぶ。



「うるさいっ!!」

動揺のあまり思わず立ち上がって

マスクをがっと外し叫び返してしまう。


グラウンドの野球部の生徒や、スタンドの観客の視線が千夏に向く。

そのことに気づき、

恥ずかしさでそのまましゃがみこむ。




「…………どんまい。」

朋子の同情のこもった声にも

何も返せなかった。

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