― Summer Drop ―
試合は4対3で東中学校がリードしたまま

最終回に入った。



その9回表に南中学校はツーアウトながら

二塁三塁という逆転のチャンスを迎える。



バッターボックスには

4番田岡辰雄。



ツーストライクから力いっぱい振ったバットから

セミの声にも負けない

快音がした。



「ホームラン!?」

スタンドの応援みんなが立ち上がって

ボールの行方を目で追う。


白球は夏空に高く上がり

飛距離はどんどん伸びていく。

「うそ!?……信じれん。」

朋子は驚きのあまり口を開けたまま、

走り出した辰雄を見つめる。

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