一人じゃないよ
運んでくれたのは亜樹さんとしか思えないし、お礼を言いたかった。
でも亜樹さんが出てくる様子はなくて、仕方ないから恐る恐るドアを開けた。
部屋は難しそうな本が棚にぎっしりと詰めてあって、部屋の奥にノートパソコンが乗った机があった。
亜樹さんはパソコンで仕事をしていたのか、パソコンは開いたままで机にうつ伏せになっていた。
「あれ、もしかして寝てる?」
寝ているかもしれないから、起こさないように静かに亜樹さんに近づいた。
「わ…本当に寝てるし」