一人じゃないよ


「……あの、亜樹さん。今日のお昼ごろにお客さんが来て、これを亜樹さんにって…」


そう言って綺咲が足元に置いていたのか、紙袋を出して俺に渡してきた。


この家に客が来ることなんてめったにないけど、多分大学時代の友達からのなにかだろう。


なんて思いながら紙袋を開けてみた。


「ん?…………え、俺の服?」


中には服が入っていて、よく見ると見覚えのあるものだった。


あんまり記憶にないけど、以前こんな服を着ていた気がする。


「名前を言わなかったから分かりませんけど、水色の花のピアスをした綺麗な女の人でしたよ」


「水色の花のピアス……そうか」


俺はそれ以上何も言わずに自室へ戻った。




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