一人じゃないよ


俺達は大学を卒業すると同時に地元へ帰った。


当然のように新しい環境に慣れるのに必死で、俺達は連絡を取ることが少なくなった。


まぁ、自然消滅ってやつだ。


美雪はそれから間もなく新しい彼氏ができて、人づてに聞いた話だと、来年には結婚するらしい。


自然消滅したのは俺がほとんど連絡してなかったから、罪悪感があったけど、俺も肩の荷が下りた気がして楽になった。


「ケンカしちゃって……だから慰めてもらおうと、今日亜樹の家に行ったの」


「頼ってくれるのは嬉しいけど…。彼氏、心配してんじゃないか?」


「してないよ……」


普通に分かったけど、美雪のやつは意地張ってるだけだ。


本当は仲直りしたいんだと思う。




< 54 / 120 >

この作品をシェア

pagetop