一人じゃないよ


「ああ、桜木さんのご家族の方ですか?」


養護教諭らしい先生が聞いてきて、とりあえず俺は「まぁ、そんなところです」なんて答えた。


本当は親戚でもなんでもないけど、本当のこと言ったらめんどくせぇことになりそうだからな。


「桜木さんならそこのベッドに寝ていますよ」


「ありがとうございます」


ベッドを囲んでいるカーテンを少し開けて中に入ると、顔を赤くした綺咲が寝ていた。


熱がまだ高いのかなって思って額に触れると、綺咲の目が少し開いた。


「……ん…」


「お、起きたか。大丈夫か?」




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