一人じゃないよ
俺がここにいることに戸惑っているのか、不思議そうな顔をしている綺咲。
「…な、なんで亜樹さんが」
風春から電話があって、迎えを頼まれたことを言うと納得してくれた。
でも、少し俯いて「ごめんなさい……」なんて言ってきた。
「なんで謝る?俺は迷惑だなんて思ってないから。だから謝るな」
むしろいつもは会えない時間に綺咲に会えて、俺は内心喜んでいる。
綺咲の体調が悪いのが理由だと分かっていても…。
家に帰り着いてから、俺はなぜかうろたえてしまった。
誰かを看病したことなんて、ここ数年なかったからだと思う。
そんな俺を見てか、綺咲が少し笑っているのが見えた。