一人じゃないよ
「大丈夫ですよ亜樹さん。…それより仕事は大丈夫なんですか?」
綺咲にそう言われて時計を見ると、1時を過ぎたところだった。
「あ、そろそろ戻らねぇとやべぇな。悪い、今日はできるだけ早く仕事終わらせてくるから」
一応親戚が熱を出して迎えに行かなきゃいけないってことにして出てきたんだけど。
早めに仕事終わらせるためにも、少し早めに会社に戻ろう。
「心配しないでください。あたしなら一人でも大丈夫ですから」
綺咲はそんなこと言ってるけど、熱あるのに大丈夫なわけないだろ。
薬の場所を伝えて、心配な気持ちが拭えないまま部屋を出て、そのまま家を後にした。