一人じゃないよ
「ゆ…夢じゃない?」
「夢じゃないよ。嘘でもない。俺は本当に綺咲が好きなんだ。健気に俺の帰りを待っててくれたり、笑顔でおかえりって言ってくれる綺咲が好きなんだ」
夢じゃないと言われても……嘘じゃないと言われても、それを信じるのに少し時間がかかった。
「水色の花のピアスをした人は…?」
「あれは元カノで、今はなんでもないよ。俺が今好きなのは綺咲だけだ。それにあいつにはもうすぐ結婚する恋人がいる」
亜樹さんの言葉が嬉しくて、涙がまた溢れてくる。
一番心配だったことがなんでもないことがわかって、もっと涙が溢れてくる。
「綺咲、こっち向いて?」
少しだけ体を離して、亜樹さんの優しい声が聞こえた。
その言葉に答えるように顔を少し上に上げると……すぐに唇が塞がれた。
「…ん……」