一人じゃないよ
助手席のドアを閉めてくれると、亜樹さんも運転席側にまわって乗り込んだ。
「それで、綺咲はどこか行きたいところとかある?」
「んー…昨日も考えてたんだけど、結局決まらなかった」
おかげでちょっとだけ寝不足なんだよね…。
「そっか。じゃあ俺の行きたいところに行っていい?」
「いいよ」
「ちょっと距離あるし寝ててもいいよ。寝不足なんだろ?」
あ、気づいてくれたんだ。
こういう気遣いとか嬉しいな。
「ありがとう。じゃあそうさせてもらいま…もらう」
「ははっ、ギリギリだな」
やっぱり気を抜くと敬語になっちゃうな。
おしおきはもう嫌だから気をつけなきゃ…。