無口なDarling
「で?マジで“みかん君”てなんだったんだよ?」
真っ赤な顔を少しだけ布団からだすと、恥ずかしそうにこう言った。
「柚木・・・だから。柚子ってみかんみたいでしょ??」
「はぁ?マジ、センス疑うし」
「うるさいなっ」
再びポカポカと俺の胸板を叩く。
「いてーよ」
本当バカな女。
でもずっと自分に嫉妬してた俺も相当なバカだよな。俺って意外と鈍感だったり。
今考えれば、澄子が話してたこと・・・確かに俺の行動と重なってたしな。
「猛こそ・・・初めて会った時に事覚えてないの?」
「あ?初めて?」
会ったのはいつだ?俺は、中庭・・・
「中庭?」
「違うー!電車!」
電車・・・?そういえば、なんか言ってたよな?
“変な人に絡まれてる所を助けてくれたの”とか。
「・・・」
「もうっ!忘れてる」
プゥっと頬を膨らます。
「痴漢から、助けてくれたんだよ?」
「忘れた」
「バカ!!嫌い!私帰る!」
カバンを持って、帰ろうとする澄子。
「ばーか。帰すわけねーじゃん」
ギュッと腰を引き寄せて唇をあわす。
帰す訳ねーじゃん?
離す訳ねーじゃん?
やっと手にいれたんだからさ。
【惹かれあう心】
END