無口なDarling
「・・・澄子、さっき駅の改札にいたの見えたけど?あんた待ってんじゃないの?」
「・・・」
何も言わずに睨みつける俺に、少し笑う。
「そんな怖い顔すんなって。もう前の事じゃん?」
むかつくよ。なんだよその余裕な感じ。
フゥーっと煙を吐いて、まだ吸い始めたばかりの煙草を灰皿に押し付けた。
「じゃあ、お先!ちょっと澄子と話したいんだよね」
「は?」
俺の返事も聞かずに、駅に方に小走りで行ってしまった。
合わす顔がないとか、そんなこと言ってる暇ねーよな。
あんな男と話させるわけにはいかない。
クシャッと髪をいじり、自分も駅の方に向かった。
案の定、あの男と澄子は改札の前で喋っている。
男の方は、携帯を取り出して今にも赤外線をしそうな勢い。
ゆっくり近づくと、しっかりとした声が聞こえた。
「私、猛以外の番号いらないから」
しっかりとした声で、そう言われて嬉しいはずなのに・・・
澄子の顔を見ると少し曇っていた。
なんで・・・そんな顔すんだよ・・・