無口なDarling
「猛!」
澄子が俺に気づき、駆け寄ってくる。
俺は駆け寄ってきた澄子の肩を抱き、男の方を一切見ずにホームに向かった。
見たら絶対また、あの顔をしてる。
寂しそうな、辛そうな・・・
澄子をそんな目で見るな。
澄子を視界に入れて良いのは俺だけ。
触っていいのも俺だけだ。
澄子は・・・俺のもんだ。
グルグルとそんな独占欲が俺の頭を支配する。
昨日反省しただろ?
また繰り返す気か?
「猛?ちょっと痛い・・・」
気が付かないうちに肩を抱いた手に力が入っていた。
「悪い・・・」
「猛?あのね?」
「・・・」
「渉とは・・・」
「分かってる。分かってるよ」
そうだ。分かってるし、信じてる。
澄子はこんな俺のことを真っ直ぐに好きでいてくれてる。
「もう会っても喋るな」
そう短く言い放ち、駅のホームで澄子にキスをした。
反対側のホームにいるあの男の視線をかんじながら、俺は澄子にキスをした。