無口なDarling


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「起きたか?」


「ん・・・」



目を覚ますとすっかり窓の外は真っ暗だった。



月明かりだけが街を照らして、小さな星が散りばめられている。



「明日は良い天気だね」


「あ?」


ベッドにいる私とは違い、何故かもう服を着た猛は机に向かうように座っている。



そこから、窓を覗いている。



「だって、星がこんなに綺麗に出てるもん。明日は晴れだよ」



そう言いながら微笑むと、猛がベッドに歩み寄ってきた。



「お前といると、今まで見てきたものと違うものが見れるよ」



ギュッと手を握られて、頬に口付けをされる。



「違う、もの?」



「今までこの窓から星なんて見なかったし、明日の天気なんて考えた事も無かったよ」



「?」


ボーっと猛が窓の外を見ている。



「猛?」


「お前といると、色んな世界が見えるって事」


そう言うと、ベッドの下にある私の着替えを拾ってくれた。




「送るよ」


私が着替え終わると、バイクのキーを手に持ち部屋を出て行った。



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