無口なDarling
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「送ってくれてありがとね」
いつもより少し早い時間のバイバイ。
月が出ているとは言え、まだ夜は更けていなかった。
もう少し猛と居たかったな。
「じゃあな?また明日」
ブォン・・・と、エンジン音がかかるとお別れの合図。
メットをかぶった猛が前を向き、走り出そうとしてる。
何故か分らないけど、いつものようにバイバイって言えない。
心にある妙な胸騒ぎ。
猛の部屋に入った時に感じた違和感。
「猛っ」
走り出そうとした猛を大きな声で呼び止める。
「なんだよ?危ねーだろ」
そう言う猛にかまわず、ギュっと抱きつく。