無口なDarling
ポケットから手を出し、手を差し出す。すると顔を輝かせて飛びついてきた。
・・・可愛いし。
「今日機嫌悪かったよね・・・?ごめんね?」
・・・分かってるなら仲よさそうに喋ってんじゃねぇよ。またイライラとし始めた短い俺の気。
いつもは何も意識せずに、ぎゅっと繋いだ手を握ってやるんだけど、今日はイライラしているせいか握りかえしてやってない。
澄子の小さな手が、俺の大きな手を掴んでいるだけ。
「追試になったの怒ってるんでしょ?」
・・・は?
「ごめんっ・・・私、猛の勉強邪魔しちゃって・・・」
うるうると目に涙がたまってきた。・・・やべ。
しかもなんか間違ってるし。
「別に追試になったことは怒ってねぇよ。俺が盛っただけだし。」
「じゃあどうして・・・」
またなみだ目で見つめてくる。
「怒ってねぇよ」
イライラしてるだけで、澄子にキレてるわけじゃねぇし。