【短】好きなのに…
「蒼空…
…あたしも好き。
…結婚して下さい。」
俺は精一杯由季を抱き締めた。
「もう離さないから。」
「あたしも離れないから。」
「これから今までの分まで幸せしてあげる。」
そして由季にキスをしようと顔を近づけようとしたときタイミング良く、蒼斗くんが起きてきた。
「マぁマぁ。」
「…あっ蒼斗」
由季はそう言い蒼斗くんを抱き上げた。
「ママ??このひとだれなの??」
「この人はね。蒼斗のパパだよ。」
「パパ??
ぼくのパパなの??」
「そうだよ。
蒼斗。ほらおいで。」
俺は蒼斗に向かって手を伸ばした。
蒼斗は不思議そうにしながらも俺の方へやって来た。
「蒼斗。今までごめんな。
これから、ママとパパで仲良くしような。」
「うん。」
そういって蒼斗は屈託のない笑顔で笑った。
笑った顔は由季にそっくりだった。目元なんか特に由季似だ。
だけど鼻や口は俺に似ていて本当に俺の子なんだなって実感した。