【中編】ひとつの愛
開いた蓋-RUKO
あの日以来、先生を露骨に避ける様になった。
――キス
たかがキスなのかもしれない。
先生からすればキスしただけ。
なのかもしれない。
だけど、私にとって先生とのキスは大切だった。
先生と交わした、たった1回のキス。
大切に閉まっていた私の気持ちを、あんな簡単なキス1つで全てが踏みにじられた気がしたんだ。
私が避けるのと同じ様に先生も私を避けていた。
明らかにわかる。
私が視界に入ると先生は違う方向を向くんだもん。
嫌でも気付くよ。
英語の先生と上手くいっていないのかな。
だから、私に悪戯しようと思ったんだろうか。
そんな気まぐれに振り回されてしまうくらい私まだ先生が好きだった事に気付いてしまった。