【中編】ひとつの愛
「失礼します」
職員室の扉を開け、橘先生を目で探した。
あ、いた。
例え違う席に座っていたとしても見つけれてしまうんだ。
私は、どれくらい先生の背中を見続けていたんだろう?
私の足は驚く程、速く先生の元へと向かった。
「……橘先生」
振り返った先生は、どんな顔をするんだろう。
驚いた顔?
困った顔?
焦った顔?
「何ですか?」
「え……あ、判を貰い忘れていたんです」
「あぁ、はい」
私から用紙を受け取り、引き出しから出した判を押し、最後に『ご苦労様』そう用紙を手渡した。