【中編】ひとつの愛
職員室は禁煙だし、唯一吸える喫煙室には口うるさい先生が陣取っている。
いい歳をした大人達が、新人いびりをするのは見るのも御免だ。
最終的には、俺にも火種が飛んでくる。
だから携帯灰皿片手にこの場所で煙草を吸うのが俺の休息時間。
カタンと音をたて、非常階段の扉が開いた。
カツカツと小さくヒールが響きながら、俺へと近付く足音にゆっくりと振り返った。
「やっぱりここだったんですね」
そう微笑む前田先生に、笑い返した。
「前田先生も煙草ですか?」
「そう、喫煙室に行くと
女は煙草を吸うなって
うるさいでしょ?」