【中編】ひとつの愛
「あ! 橘先生!」
放課後、職員室でテストの採点をしていると、職員室のドアが大きな音をたてて開いた。
走り寄ってきたのは副会長。
「何だ?
またトラブルか?」
俺の仕事はは生徒会のトラブル処理ばっかりだ。
「いや、違うんです。
山口さんが生徒会室で倒れてしまって」
「え!?」
急に立ち上がったせいで、椅子がガタンと倒れてしまった。
驚いた顔をしたものの副会長は話を続けた。
「保健室に連れて行ったんですが、保健の先生がもう帰られていまして鍵が開かないんですよ」
聞き終わる頃には、鍵を持ち、保健室へと走り出していたんだ。