【中編】ひとつの愛
溺れた考え-RUKO
静かに走る車。
窓の外は、もう真っ暗で他の車のテールランプが眩しく感じる。
隣で運転する先生は、一言も話さない。
ねぇ、先生。
何を考えているの?
栗野君が自転車を取りに行ってくれると保健室を出て行った後、すぐに先生に手を引かれ先生の車に乗った。
学校の中の道を通っている時、借りた自転車を押す栗野君と目が合ったんだ。
凄く哀しそうな笑みを私に向けた。
その時、どうして私は『止めて』って言わなかったんだろう?
私の為に自転車を借りてきてくれた、栗野君に悪いって思ったのに。