【中編】ひとつの愛



なななっ、何。
今の。


両手で熱くなった頬を覆い、長い髪が横に落ちて俯いた私を隠す。



何か、キス……する時みたいじゃなかった?



でも、だって。
そんなわけないよね?

駄目だ、先生がわからない。


全然わからない。



いきなり送ってくれたり。

流湖って呼んでくれたり。

唇に触れたり。


そんな事をされたら、私は子供だから。

もっともっと先生を好きになってしまう。


蓋が出来ないくらいに大きくなって。

蓋をしても爆発しちゃうくらいに好きになってしまう。



そして、またどん底へ突き落とされるの?



わかっているのに。

これだけはわかっているのに。



頬の熱が冷めない。




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