【中編】ひとつの愛



「きゃあぁぁぁっ」



叫び声と、ほぼ同時に

バサバサ

と本の落ちる音がする。


図書委員になって何度目だ?


愛姫はほっんとに鈍臭い。


なのに、何でも自分でしたがるから困る。



受付で書類の整理をしてた俺は、愛姫の居る本棚まで向かった。

案の定、

本棚の上一列の本を被り、ひっくり返って泣きそうな顔をしていた。



「何してんの?」

「うぅ……」



言葉に詰まり、辺りの本を見渡して、エヘッと笑う。


笑ってる場合じゃねーだろが。


足元の本を拾い、



「大丈夫かよ?」



と声をかけた。



「だっ、大丈夫!」



勢いよく立ち上がったら、愛姫に乗っていた本がまた広がり落ちた。



「うわっ! 嘘ぉー」



……大丈夫じゃねぇから。

嘘でもねぇから。






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