【中編】ひとつの愛
「先生……っ」
そんな苦しそうな声で呼ぶな。
「ちょっと……」
そんなに強く胸を押し返して嫌がるなよ。
「離してってばっ」
「……嫌だ」
「……は?」
きつく抱きしめた流湖の体から力が抜けた。
「嫌って何ですか?」
「……嫌だから、嫌ってんの」
って、俺は何歳だよっ!
いくら離したくないからって、こんな言い方するか?
自分自信に呆れ返り、抱きしめた腕を緩め離そうとした、その時だった。