【中編】ひとつの愛
「先生……私の事、好きですか?」
参った。
だんだんと潤んでいく瞳。
俺は黙って見つめ返すしか出来なくて。
あと一歩が。
最後の一歩が出ない。
「先……生」
「言うな。……それ以上言うなって」
笑ってごまかした。
次の流湖の言葉がわかったから。
今、言われたらヤバイ。
もう……止めれなくなるから。
「先生っ!」
大きな声。
今、俺が考えていた事がわかっているかのような顔に見えた。
「私……先生が好きです」
そう言葉を聞いた瞬間には、もう俺は流湖を抱きしめていた。