【中編】ひとつの愛
『ごめんね』と何度も謝りながら必死に拾う。
そして、また落とす。
ったく、何にでも必死過ぎんだよ。
結局、ほとんどを俺が拾った。
「いつも、ごめんね?」
うわっ……!
やばっ。
俺より背が低いから、俺を見上げるのは仕方がない。
だから上目遣いになるのも、わざとじゃないと思う。
ただ今は、すぐ隣で近すぎる。
咄嗟に赤くなった顔を隠す為に、愛姫と逆の方を向いた。
「碧君? ……あっ、コレ片付けるね」
「えっ、俺がするから」
カタカタと脚立を上る音が聞こえた瞬間、顔を上げると、
「きゃあぁぁぁぁ!」
今度は本と一緒に愛姫まで落ちてきた。
愛姫を片手で胸に抱え込み、もう片方の手で頭を守った。