【中編】ひとつの愛
「何笑ってんだよ」
不貞腐れた表情で言う先生。
「あはは、先生の慌ててる姿が面白くて……」
クククッと笑いが止まらない。
「うっさい。誰のせいだよ」
なんて言いながら、また新しい煙草を取り出す。
「先生、煙草吸い過ぎ」
「さっきのは吸えてないからいいの」
「でも、体に悪いよ」
「落ち着くから、いーの」
子供みたいに言うのも、また面白くて笑ってしまう。
そんな私を見て、不貞腐れる先生。
「何か落ち着かない事でもあるんですか?」
って、わざとらしく聞くと、ゴホゴホッとむせながら少し涙目で睨まれた。