【中編】ひとつの愛
「はっあー」
わざとらしい位に大きな溜息。
「何か、俺……馬鹿みてー」
「え?」
「考えてた自分がかわいそうになってきた」
何を言ってるのかが、全くわからない私は首を傾げた。
「お前なら大丈夫だったのかもなー」
「先生? 言ってる意味が全然わからないんだけど」
「いーの、わかんなくて。わかられても悔しいし」
やっぱり、先生の言ってる意味がわからない。
わからなくてもいいのに、わかられたら悔しいって何なんだろ?
煙草を咥えながら、ハンドルに手を置き顎を乗せている。
そして何度も大きな溜息。