【中編】ひとつの愛



先生の布団が擦れる音がした。



「告白なんかしちゃって、困らせちゃってごめんね」



だって、その前に私が言おうとした時、先生止めたよね?

あれは、私が“好き”って言うのがわかってたからだよね?



「謝るな。お前が言わなきゃ俺が言ってたかもしんねーしな」



え?



その言葉に驚いた。



俺が言ってたって。

それって。



「先生、それって」

「あー、うっさい。それ以上は今は言えません」



なんて急に教師の口調になった。



「もー、セコイ」

「はいはい、大人はセコイんだよ」



本当にセコイよ。



すごーくいいところで、話を終っちゃうんだからっ!



でも、今日はこの位でいいや。

ちょっとずつの幸せが沢山ある方がいい……。


この先も、こんな小さな幸せが続くんだよね。


ね、先生?




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