【中編】ひとつの愛
俺のベットで気持ちよさそうな寝息をたてる流湖。
窓際へと向かった俺は、少し窓を開けて煙草を吸う。
俺が、あれだけ悩んだのに。
流湖は簡単に俺を“好き”だと言った。
そして俺は、流湖を抱きしめて家にまで入れて……。
本当、最低な教師だよ。
もしかしたら、流湖は“教師と生徒”という関係のスリルに恋を錯覚しているだけかもしれないのに。
そう、俺だってそれで何度も悩んだはずだ。
だけど。
さっきの、最近の、流湖を見て、そうじゃない。
何の確信もないのに、そう思ってしまったんだよな。
キスした時、
初めてキスした時の感覚を思い出した。
相手は……同じ年の彼女だったかな。
顔はボンヤリとしか覚えていないけど。
ただ、すっげードキドキして。
変な汗をかいた。
こんな感覚なんて、もうずっとなかった。
キスなんて簡単でSEXへの流れ、そんなもんだって思ってたから。