【中編】ひとつの愛
だけど、告白をした事を謝ったのは何で?
俺を困らせると思ったから、か。
確かに困った。
ていうか、参ったよ。
だけど、お前が言わなきゃ遅かれ早かれ……俺が言っていたと思う。
だから流湖。
謝るな。
ボーっと外を見ながら考えていたら、煙草の灰がフローリングへと落ちた。
はぁーっと溜め息交じりの息を吐きながら、ティッシュでふき取る。
また、外を眺める俺の背中に温かい体温を感じた。
そっと首に回る細く白い腕。
サラッと長い髪が俺の頬を擽った。
「流湖?」
「ん……。先生? 何を考えていたの?」
今にも消えてしまいそうな声で囁く。
「何も考えてねーよ。ただボーッとしてただけ」
「本当に?」
声を出さず、頷いた。