【中編】ひとつの愛
「そっか。私、先生が後悔してるのかなって思っちゃって」
「……後悔?」
「うん、私を抱きしめたり、キスしたり……家に泊めたりした事」
どんどん小さくなる声。
俺に回した腕が少し震えているのがわかった。
なぁ、俺はお前をそんなに不安にさせてんの?
ただ、好きなだけなのに……。
「後悔なんて、してねーよ」
俺の肩に乗せた頭を、手で撫でる。
ピクッと動くのがわかった。
「もし、お前との事がバレた時は仕方ねぇだろ」
「でもっ…」
ポンポンと頭を軽く叩いて、
「だから、お前はバレない様に努力しなさい」
そう笑って言った。
「先生……」
言いたかった言葉を止めて、少しの間の後
「バレないようにってどうするの?」
ってクスッと笑った。