【中編】ひとつの愛
ケラケラと笑う俺に、回した腕で首を絞めるマネをする流湖。
「もー、先生の馬鹿ぁー。私、すっごい考えたのにっ」
痛いって言ってもその腕は弱まる事はなくて。
「わぁーった、俺が悪かったって」
「本当に思ってる?」
「思ってる、思ってる」
「2回言う辺りが胡散臭い」
胡散臭いってお前ねぇ(笑)
やっと緩まった腕を掴んで、俺の首に置かれた顔の方へと向いた。
「だからさ……今、キスしてもい?」
「へ!?」
耳元で大きな声を出した流湖は、俺の首元から顔を下げた。
だけど、掴んだ腕を離さない俺のせいで離れる事は出来ない。
「こんなに密着する流湖が悪いと思わね?」
「~~~!」
声にならない声を出す。
驚いて真っ赤な顔が薄っすらとわかる。
そんな流湖の腕を俺の方へと引き寄せ、唇を重ねた。
さっきとは違う、強く深く……そして激しく。
時折、漏れる声が俺の感覚を麻痺させる。
ずっとずっと触れたかったんだ。
ずっとずっと感じたかったんだ。
ずっとずっと……こうしたかったんだ。