【中編】ひとつの愛



「せっ、先生っ」



どれくらいしてたかな。

流湖の声で、麻痺した頭は少し現実へと戻る。


トロンとした瞳で俺を見つめ、苦しそうな息遣い。


このまま押し倒してやるか。なんて思ったくらいに色っぽくて、綺麗だった。



「あ、やり過ぎた?」



でも、さすがに俺だっていい歳した大人だから我慢するよ。


“教師と生徒”の間は、我慢しなきゃいけない……壁だろ。



涙目の流湖はコクンと頷いて、俺の胸に頭を預けた。


そんな可愛い事ばっかしてっと……俺が!

我慢出来ない気がするんすけど。



大人って、年上って辛い。

教師って辛い。



今までで、1番思った時だったかもしれないな(笑)



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