【中編】ひとつの愛
「私ね、先生の事……本当に好きだよ?」
真っ暗な部屋。
夜中になって、周りの騒音もほとんどなくなった静かな夜。
この暗さは、相手の顔が見えない分。
少し人を大胆にさせるのかもしれない。
さっきの流湖が俺を後から抱きしめたのだって、そうだろ?
「うん」
「ずっと、この先もだよ?」
「うん」
「……そんな事、わからないだろ。って言わないんだ?」
「うん」
この先の事は、わからないよ。
だけど、お前が言っている言葉の意味は、ずっと俺が欲しかったから。
“教師と生徒”
その関係じゃなく、そんなスリルじゃなく。
俺の事を好きだって言ってくれているんだろ?
なら、俺はこの先もお前が俺を好きなままでいて欲しい。
そう願うよ。
そして、俺もだって。
そう誓うよ。
誰に願うわけでも、誓うわけでもないけどな。
俺の胸に……願い、誓うから。