【中編】ひとつの愛
本を片付け、受付へと戻る。
ショボンとした表情で、封筒をホッチキスで留めてる愛姫。
隣に座った俺に、何か言いたそうにしながらもパチンパチンとホッチキスの音は止まらない。
5分程経った頃、
隣に目をやると俺から大きな大きな溜息が零れた。
「それ。意味ねぇから」
「へっ?」
とぼけた顔の愛姫に、指差した。
愛姫は、その方向を見て大慌て。
1カ所留めるだけなのに5~6カ所も留められてる封筒。
開ける時、大変なだけだから。
てか備品の無駄使い。
留めてしまったのを外し出したと思ったら、
“ビリッ”
今度は破った。
「ぶっ」
思わず笑ってしまった。
いや、余りにも鈍臭くてさ?
つい。
「何も笑わなくてもいいじゃない……碧君の馬鹿ぁ~」
えっ?