【中編】ひとつの愛
図書室へと戻った俺は、また溜息をつく事になる。
ドアを開けると、受付に両手を枕に寝てる愛姫。
そばに寄ると気持ち良さそうな寝息が聞こえる。
こいつには危機感はねぇのか?
一応、お嬢様なんだろ?
流湖さんが来るまでは、このままにしとくか。
起こしても、間が持たねぇしな。
隣の席に座り、俺も同じかっこうになる。
勿論、顔は逆の方向にして。
チラッと見た愛姫は本気で寝てるっぽい。
顔の向きを変えてみた。
隣に座ってるだけなら、そんなに思わなかったけど。
寝ると結構近い。
それだけで心臓が大きな音をたてる。
俺の事、何とも思ってねぇから寝れるんだろうな。
「襲うぞ、馬鹿」
ポツリと呟いた言葉。
みるみる赤くなる頬を
見て驚いた。
愛姫……起きてる?