【中編】ひとつの愛
「愛姫?」
自分で言った事が恥ずかしくて。
愛姫を見つめてた事が恥ずかしくて。
なのに呼び掛けても、
無視。
はぁ?
寝てるふりをするつもり?
そんなバレバレなのに?
バレてないと思ってんか?
「キスでもしちまおうかな~?」
なんて、からかってみる。
ピクッと反応する体が面白い。
でも、それでも寝たふり。
そっと愛姫の髪を触る。
瞼に力が入るのがわかった。
頬を突いてみる。
結構な力で突いても起きないから、つねってみた。
全身に力が入ってるくせに、寝たふり。
何かの我慢大会か?
いや、これくらいされたら起きてもいいだろ?
愛姫、何がしたいんだ?