【中編】ひとつの愛
愛姫の家に着き、お手伝いさんに庭で催されてるパーティーへと案内してもらう。
20~30人くらい集まった庭はアメリカかよっ!
と突っ込みたくなるくらい日本離れをしていた。
「あー! 沙耶ちゃん♪」
少し離れた所から走り寄る愛姫の母親の心菜さんが大きく手を振る。
その後ろから歩いてる陽呂さん。
そしてホワンとした笑顔で俺を見る愛姫と目が合った。
「心菜さん、お久しぶりですっ」
「壱も久しぶりっ」
「心ちゃん、相変わらずだね」
楽しそうに話す両親達に遅れ、ゆっくり近付いてくる愛姫。
「おっ、碧も来たんだな」
「えっ? あぁ、はい」
愛姫から目を離し、見上げた先には陽呂さんが笑っていた。
「中学にあがってからからだから、ちゃんと会うのは3年ぶりか?」
「はい」
「沙耶に似て、いい男になったよなぁ」
そう言って昔と変わらず、俺の頭をポンポンと叩く。
「おい、川合。碧は俺に!
似たんだからな?」
俺と陽呂さんとの間に割り込んできた父親。
負けじと陽呂さんも言い返す。
「お前に似たのは、
身長くらいなんじゃね?」
「はっあ~?」
こうなると誰も止めない。
この2人は学生時代から、こんな感じらしいから。