【中編】ひとつの愛



「おい、愛姫(マキ)」



偉そうに呼ぶ声。

その声にぷぅっと膨れて振り返った。



「もーぅ、碧(アオ)君。
あたしの方が年上なんだからねっ!」

「いちいち、年上年上うっせーよ馬鹿」

「ばっ、馬鹿って。
馬鹿じゃないもん!」



『うるせぇな』って寝転んでしまった碧君。

なによー、呼んだくせに寝ちゃってるじゃん。



寝てるって……



もしかして、これ1人でするの?

碧君の馬鹿ぁ。



そのまま図書室の無駄に大きな出窓で寝てる姿を横目に、山積みにされた図書カードの整理を始めた。


川合 愛姫(カワイ マキ)
高校2年生。

くじ引きでハズレを引いて図書委員をやってます。



うちの高校は図書委員は5時まで残らなきゃ駄目で誰もがやりたがらない。


水曜日と金曜日が担当日。


碧君とは知り合いだからって先生が勝手にペアを組んでしまったんだ。



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