【中編】ひとつの愛
はぁ!?
お前、俺の質問の答えは?
チラッと俺を見た後に立ち上がり、斉藤の方へと向かおうとする。
その手を掴んで、
「さっきの答えは?」
下から睨んだ俺に
『はっ、離して』
掴んだ手と逆の方の手で、俺の手を離し行ってしまった。
その後姿を見送る事しか出来ない俺は苛立ちを隠す事なんて出来なかった。
地面を思いっきり蹴り、気持ちをぶつけてもスッキリなんてしない。
だから。
だからパーティなんて来たくなかったんだ。
もう2度と来るか。
愛姫なんて……
もう知らねぇー。
帰ろうと立ち上がり、歩き出した。
遠くの方で流湖さんが驚いた顔を見せたけれど、俺に声を掛けて来る事はなかった。
そして、気付けば愛姫と斉藤が話しているのが目の前に見える。
愛姫を視界の隅で見た俺は目を合わせることなく
通り過ぎた。