【中編】ひとつの愛
「うざい」
そう小さく呟いた碧君は、あたしの手を引き寄せ、もう片方の手で顎を上げる。
「やっ……あ、碧く…」
そのまま近付いて来た碧君の唇は、迷う事なくあたしの唇に重なった。
掴まれた手首は痛いほど強く握られ、何度押してもビクともしない胸。
喋ろうとした瞬間に、滑り込んできた碧君の舌。
何もする事が出来ないあたしは、
激しく絡まる舌に息が苦しくなった。
抵抗してた手にも力が入らなくなってきて。
あたしをもとめる碧君に、もどかしさまで感じてしまう。
「何、愛姫。感じてんの?」
「違っ……ん…ん」
唇の隙間から囁かれ、言い返そうとしたあたしの唇をまた塞ぐ。
「嫌とか違うとか…いらねぇ」
「えっ? ……んんっ」
ゆっくりと首筋を這いながら片方の手が胸の膨らみに触れる。
「ちょっ、あっ、碧君」
「……何?」
首筋から見上げる様に、あたしを見つめた。