【中編】ひとつの愛
「俺と一緒の方が危険なのに」
そう言いながら、あたしの横に座り毛先を指で絡めた。
「碧君の二重人格っ」
「愛姫もだろ?
さっきは可愛い声出してたくせに」
「あっ、あれは、違っ!」
「何が違うの?
感じてなかったって事?」
碧君の意地悪っ!
そんな風に言わなくてもいいのに。
目に涙を浮かべるあたしを見て、哀しそうな顔をし、
そっとキスを落とした。
それだけで、また熱を帯びる体。
触れた毛先やキスされた場所が
“もっと”
と囁く。
「んな顔して。
誘ってんのか?」
「ふぇ!?」
あ、あたし、そんな顔してた?
布団を被り、慌てて顔を隠した。