【中編】ひとつの愛
クスクスと笑い声が聞こえ、
「ばーか。
これ以上したら本当に
熱出しそうだし、しねーよ」
そう言われて、ホッとしたあたしと。
残念に思った、あたしがいた。
何、残念に思ってんだろっ?
あたし、変になっちゃったのかなぁ?
布団の隙間から覗かせた目を見て
『ん?』
と首を傾ける碧君。
首を横に振るあたし。
「寝てもいーよ」
「……うん」
そして
あたしより少し冷たい指先に、自分の指を絡めた。
ちょっと驚いた顔をした碧君は、優しく握り返してくれる。
少しずつ遠のく意識の中で。
だから危機感がないって言われるんだろうな。って思った。
さっき、あんな事をした碧君の手を握りながら、鍵の閉まった部屋で2人きり。
そして何故か、眠りに付こうとまでしている。