【中編】ひとつの愛
「トロイ」
「ふぇっ?」
いつの間にかあたしの隣に座ってた碧君。
そして目の前に積まれたカードを手際よく仕分けていく。
それをすごーいって見てるだけのあたし。
「お前、何ボーっと見てんだよ?
サッサッと手伝えば?」
「あっ、ごっ、ごめんねっ!」
元々は一緒にやらなきゃいけない物なのに寝てたのは碧君。
なのに、謝ってしまう。
そして偉そうに言われてるあたし。
……元はと言えば碧君が悪いくせに。
思ってても口には出せない弱いのが、あたし。
だって碧君、恐いんだもん。
「愛姫、帰ろっ♪」
ガラッと開いた図書室の扉から、ニッコリと流湖ちゃんが顔を出した。