【中編】ひとつの愛
困った顔を見せる愛姫。
言っていいよ。
嫌いだって、“あたしは嫌いだ”って言えばいい。
告っちまったもんは仕方ねぇもんな。
「え……っと」
「ハッキリ言っていーから。それ聞いたら、もう追いかけねーし」
そんなとこで悩む必要ねぇよ。
俺が悪いから。
何にも言わないで、あんな事して。
挙句、避けられてんのに追いかけて。
んで告白とか。
勝手過ぎるよな。
俺を見上げた愛姫の唇が微かに動いた。
あぁ、終わった。
そう思ったのに。
「あのね……よくわからないの」
って、
「はぁ!?」
素っ頓狂な声が出てしまった。
だって、俺だってわかんねぇ。