【中編】ひとつの愛
「いや、愛姫。ハッキリ言っていいってんだろ?」
「うん、だからね? それがわかんないの」
「……はい?」
少し考えてみたものの、やっぱり俺もわからない。
「えっとね、告白ってされたら断るか……お付き合いするかでしょ?」
「ま、まぁ。そうだわな」
「碧君とお付き合いなんて考えた事もなかったし……」
そう言ってまた下を向いてしまう。
考えた事がなかったんなら、俺をそういう対象で見てないって事だろ。
それなら……
「だけど、断るってのも何か違うような気がするんだもん」
だもん。ってねぇ。
「それって、どう取ればいいわけ?」
俺から漏れた言葉は溜息混じり。
そんな俺を何故か涙で潤んだ瞳で見つめて
「……わかんない」
って。
愛姫にわかんねー事が俺にわかるわけがない。