【中編】ひとつの愛
好き。の意味-MAKI
「あっ」
「あぁっ」
2人の声が重なった瞬間、上から落ちてきた本。
放課後の図書室。
返却された本を、脚立なしでギリギリ届く本棚に背伸びをしてしまうところだった。
のに、背の低いあたしは失敗して……。
床には散らばった本が数冊。
目線をさっき重なった声の相手、碧君へと向けると、呆れ顔。
う……、これって怒ってるよねぇ?
先にしゃがみ込んで落ちた本を拾う碧君を見て、慌ててあたしもしゃがみ込んだ。