【中編】ひとつの愛
「はぁー」
帰り道、大きな溜息をひとつ。
「どうしたの、愛姫?」
隣を歩く流湖ちゃんが心配そうに覗き込んだ。
「う、ううん。何でもないよ!」
そうニッコリ微笑んだのに
「うーそ。また碧と何かあった?」
ってズバリ当てられて、挙動不振になってしまう。
「……碧君にね。告白されたんだ」
小さな声で呟いたあたしを見て、驚いた顔をした流湖ちゃんは、すぐに笑った。
「碧、やっとしたんだ!」
「え? 流湖ちゃん知ってたの?」
「碧見てたら気付くよー」
……そうなんだ。
あたし、全然気付かなかったのにな。
今は流湖ちゃんに言われた事に驚く余裕さえない。